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CSTAの気楽な日々

   

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David Bowie : The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars 邦題:デヴィッド・ボウイ:ジギー・スターダスト


1972/06/06 (UK)

 1.Five Years
 2.Soul Love
 3.Moonage Daydream
 4.Starman
 5.It Ain't Easy
 6.Lady Stardust
 7.Star
 8.Hang on to Yourself
 9.Ziggy Stardust
10.Suffragette City
11.Rock & Roll Suicide

 Bowie を知ったのはいつの頃だったか、"Low" から "Heroes" にかけての頃だったと思う。 "Heroes" はかっこいい曲だった。それは別途書きたいと思うが、その後来日した時、自分の誕生日に大阪でのライブがあり、行きたいなと思った。まだガキだったので、後日放映されたNHKの「ヤングミュージックショウ」で我慢するしかなかったのだが、"Low" と "Heroes" からの曲以外には、結構このアルバムからも取り上げていた。
 早速このアルバムも購入となったわけだが、なんとも長いタイトルである。
 "The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars" なんて長いタイトルは、ガキの私にとって諳んずることができる最長の "SGT. Peppers' Lonely Hearts Club Band" を超えていた。あまりに長いので、"Ziggy Stardust" と普通は略す。
 ところで、誰だ。帯か中の紙だったかは忘れたが、「屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群れ」なんて真直ぐ過ぎる直訳を記していたのは。ガキの私は本気でそう思ってしまいそうだった。何でそんな変な日本語が記されたか、理由を知る由もないが、
 ・"Space Oddity" って宇宙のイメージの Bowie だから宇宙のことだろと安直に付けた
 ・かっこいい邦題が決まらなかったので、ならそのまま訳してみると面白いかもという確信犯的行為
 ・何も考えずにバイトに頼んだらこうなった
ってなとこだろうか。確かにかつては「狂気」だとか「危機」だとか、そういう邦題をつけるのに力を入れることもあったから、案外2番目みたいなことだったのかなと思う。
 ただ、アルバムを聞いてみれば分かる通り、このアルバムは David Bowie 扮する Ziggy Stardust というロックスターの物語(またはアルバム)という形態だ。The Spiders From Mars はそのバンドの名前。ザ・スパイダーズでなくてよかったと安堵の気持ちを抱いたのは私だけではないだろう。業界パラサイトかまやつのいたバンドなんて良く知らないが。それはさておき、その Ziggy 率いるバンドの、硬い日本語で言えば栄枯盛衰物語がタイトルの意味である。ところで、いまだに私は Ziggy という言葉に「屈折する」という意味があるのかどうかは知らない。"ZigZag" の"Zig"からの発想だろうか。 Bowie としてはそれよりも、 Stardust という言葉を使って、光ってはやがて消えていく Rock'n'Roll Star は Stardust なんだというメッセージをこめたかったのかもしれない。
 David Bowie の大きな転換点を考えると、1つに "Young Americans" そして次に "Let's Dance" が挙げられ、"Ziggy Stardust" を頂点とするグラムの時期と、"Scary Monsters" を最後とする変化の時期と、その後に分けて考えても良いかもしれない(大雑把過ぎるが)。と考えると、'75年以降の Bowie を知る人が初めて "Ziggy Stardust" を聴くと、Bowie の声の違いに戸惑うかもしれない。声質がかなり違うのである。若いのである。しかし、単に若いというのではなく。意識してそういうグラムに向いた声を出していたと思う。
 フェードイン気味にドラムの音から入ってくる "Five Years" は、ある意味このアルバムの主題をいきなり告げているかのようだ。もうあと5年しか人類に残されていないという事実とそこからくる抑圧感がこのアルバムを支配する。 '70年代に入り、人々は世紀末を意識するようになった。今から思えば馬鹿らしい話かもしれないが、ロンドン・スィングを経て人類が月に行くようになると、21世紀それよりも20世紀末を意識し、終末観が一種のトレンドとなった。そういう時代を感じる。
 次が転拍子の感じも良い "Soul Love" だ。一曲飛ばして "Starman" がとても良い。アメリカではいまいち受けないのか、Best のUS盤には入っていないのが残念だが、日本では人気が高く、'91年からは日本ではプレイするようになった。いつ聴いてもなんか懐かしい感じがする曲だ。アナログ時代のB面の先頭は "Lady Stardust" で、なぜかTVのCMに使われていた。ピアノが美しい曲だ。高校時代、同級生にこのLPを貸したところ、この曲が良いと長時間かけて訳したと言っていたが、英文科志望にしては時間かかりすぎちゃうって思ったことを思い出す。
 そのままノリも良く "Star" 以降の曲が続く。このアルバムはSF的な「屈折する星屑」ではなく Ziggy Stardust という Rock'n'Roll Star のアルバムだとここでも分かる。 "Hang on to Yourself" のギターのリフは後年のパンクやニューウェイヴに結構参照されたと思う。そしてテーマソングである "Ziggy Stardust" だ。これを聴くとギターを弾く Ziggy は上昇や下降を宇宙空間で行うような星屑でないことは明白だが、当時のUKのロッカーたちのひそかな流行だった Japan もしっかりと入っている。単に "Cat from Japan" と言ってるだけだが、Queen の "Killer Queen" の中の "Geisha Mainer" と同様雰囲気なのだろう。ただこの曲では、以前からずーっと心に引っかかることがある。"Ziggy plays guitar" なのだ。guitar に冠詞がないのだ。通常なら定冠詞の "the" が付くはずなのだが、なぜ付いていないのか。もしかしてそれも Bowie の狙いなのか。
 実は次の "Suffragette City" もずーっと心に引っかかっているのだ。"Suffragette" は辞書を見ても「婦人参政権論者」といった意味しか出てこないが、この曲のみならず、Paul McCartney & Wings の "Jet" も "Suffragette" と叫ぶのだ。確かUKは日本よりも後に婦人参政権が国会で承認されたと思うが、なぜこの言葉がそんなに歌われるのか。
 そして最後に "Rock & Roll Suicide" で "Wonderful" というコーラスと共に少しドラマティックに幕を閉じる。
 私の手許にある初期の日本盤CDには、さらに追加して "Velvet Goldmine" が入っている。数年前 David Bowie なのかそれとも Ziggy Stardust なのかをモデルにしたような、'72年前後のグラムロックの時代を描いた同名の映画があった。あまり映画を見る方でもないので、さして面白いとは思わなかったが、Bowie はこの映画に自分の曲が使われることを拒否したそうだ。正解だった。
 どうせなら、その頃の Bowie のドキュメントがあれば、ずっと面白いように思う。バイだと公言しつつもアンジー(そう、Rolling Stones の "Angie")と一緒だし、ジェンダーのはしりみたいな格好をして、Mark Bolan や Andy Warhol, Lou Reed などとお祭り騒ぎだったのか、でも案外普通だったり、どこまで計算していたのか、パンクの頃よりも頭の良い連中が多かった分、時代を感じることが十分にできそうに思う。
 ついでながら、近田春夫の「星屑兄弟の伝説」はなんか関係あるんだろうか。どっちでもいいことだけど。
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